知人がとても丁寧に書いた親切な本を出版しました。
フムフムと素晴らしく「わかった気にさせてくれる」ビジネス書を私はたくさん読んできました。
しかし、それらの結論に至るプロセスが難しく(これは私の知識不足や理解力のなさが拍車をかけていることも十分あります)表層的な理解が多かったような気がします。
ところが、です。
結論に至る著者の“脳”の中が、丁寧に活字化されている親切な本が出版されました。
結論を導き出す思考プロセスが、一つずつ解説されています。
さらにそれらが図式化されています。図式で解説を読み返すという感じです。
読み手に「どうあるべきか」、「読み手」つまり「人・人間」に対する著者の人柄が感じられます。
さて、それは
「働くこと」を企業と大人にたずねたい 中澤二朗著(東洋経済新報社)です。
実はタイトルを見た時の私の印象は、こうあるべきだという様な批評的なものかと感じました。が、それはすぐに覆りました。
地べたを這うようにして送った私の三十余年の、と自身のことを「はじめに」に述べていますが、これは著者が人事という仕事をする自己として、企業で働く企業人としてまた一社会人として、はたまたきっと親として常に問いかけてきた「働くこと」とは何かを、自身の見識を通しての思考を解析し丁寧に述べたものでした。
「これから社会に出る人のための」とタイトルに注釈がありますが、これは「今」社会人である人たちすべてに読んでいただきたい、特に企業の経営者の方々、企業で人材育成に関わる方々、広く人材教育に関わる方々には是非読んでいただきたい。
「何でこんな仕事を」「仕事だけの人生なんて」「他にいい会社は・・・」なんて言われたり、思ったりすることは一度や二度ではありませんね。
そんな時に光を感じさせてくれる本でもあります。
「働くこと」から見えてくる光を手に入れる方法も示されていることに、安堵します。
その方法<実践NJ法>は、まさに著者自身がこの本を著した実践の証であることを本文で示しています。
本文より好きな一節・・・
承認には<成果の承認>一つしかないと思い込み、その<成果の承認>は<人格の承認>の助けなくしてはその役割を果たさないことなど、微塵も頭の隅に置いていなかったのではないか。
私たちに課せられた課題はただ一つ、<しごと穴の仕事人>になることである。<しごと穴の仕事人>になって「穴」の向こうに働きかける。そうやって、「この社会を住みよい美しい社会」にすることである。
古今東西の宗教、経済、社会、心理、教育、哲学、自然、科学者等々に加えて石川啄木から武者小路実篤、萩原朔太郎、日野原重明、落合博満、糸井重里等々の氏の文言も楽しめます。
是非手に取りお読みくださることを願っています。
「働くこと」を企業と大人にたずねたい 中澤二朗著(東洋経済新報社)
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