6月のメッセージ 出会う言葉・・・「咲き定まる」
山種美術館「百花繚乱ー桜・牡丹・菊・椿ー」展、やや狭く感じる会場に最終日を明日にして多くの人出の中にまさに百花繚乱、季節や和花、洋花、花の種類別等のカテゴリーに日本画56作品が飾られています。
絵画は、作品の語りと見る者の感性が同じラインあるときに、足が止まり、遠い記憶の中の心を感じ、ほんわかとしたり、解説にある私などには想像できない作者の思考や思索、計算された美の構図に一歩下がって見入る作品に出会える豊かさがあります。そういくつも、いつも出会えるものではありませんが。
この展覧会では、速水御舟作品「椿ノ花」は、とても好きです。椿の紅色、葉の表の黒みどり色、枝の流れの潔さが好きです。
小倉遊亀作品牡丹花「咲き定まる」。
作品タイトルの多くが花の種類であったり固有名詞であったりする中で、画面のほぼいっぱいに白い牡丹が描かれた作品は、動詞形のタイトル「咲き定まる」が印象的でした。
「咲き定まる」
牡丹の花は、朝方に花を開き始め夕方に閉じるを2、3日繰り返し、大輪の満開となります。その後ピタと花を終えるということを何かで読んだことがあります。
小さな庭に牡丹の株が数種あります。真っ白と真っ赤な花が咲きます。 固い大きな蕾がほんのりとその色を見せ始め、気がつくと豪華な姿が現れています。
ここぞと咲き定める「時」を知る牡丹花。
「牡丹花は咲き定まりて静かなり花の占めたる位置のたしかさ」木下利玄
出会う言葉・・・「咲き定まる」
私たちは、
いつ咲き定まりましょうか。
なにを咲き定めましょうか。
どこで咲き定めましょうか。
私たちの確かな位置は。
ここぞの勇気、これだの自信、これでいいのだの自尊。
夕刻の風に、アジサイの枝が揺れています。
まもなく咲き始めます。
華奢なこの花にも「咲き定まる」色も位置もあります。
2011.6.06 Michi-E AoyAgi