IT時代を生きぬくヒュマンコミュニケーション術
「分かっている」を「している」に換える CS-Eye by Aqua
“コミュニケーションの量と質”が顧客満足を左右する。
“顧客満足は、顧客とドラマを作ることである”
Vol. 119 「大人の雰囲気が出るビジネス電話」
2011.01.16
日本人は女性男性を問わず、若く見えるとよく言われています。
この「若い」の言葉の中には、「幼い」と言うニュワンスも含まれているようです。
アメリカ暮らしの長い叔母(ほとんどアメリカ人気質)が、高校生の息子に「いくつになった」と聞き、「まぁ、中学生と思った」と仰天していたことがありました。彼の細身の見た目の雰囲気もあるのでしょうが、やはり自己主張もあまりしない、はっきり話さない、表情やアクションを交えた話しぶりも乏しいことなどからそう見えたのだと思います。
もちろんこの幼さは、学生に限ったことではないことが、社員研修をしていると実感することが度々あります。
子どものころから会話力を育て、幼さからの脱却が最も求められていることだと痛感しています。
「大人の雰囲気がでるビジネス電話」
時を経ずに2つのコールセンターに問い合わせをする機会がありました。
1つは日本企業、他方は外資系のものです。
ともに女性のオペレーターです。
日本企業のものは、待たされることなく電話がつながります。
(日本企業の多くは、待たすと言うことをまず解消したいことの一番に挙げています。
待たされることの嫌いな国民性にも要因があるのでしょうが。)
この電話はお客さま対応の向上とご用件の確実な把握のために録音をさせていただいておりますとテープに入ったアナウンスが流れた後に、そのテープの印象にも近い雰囲気のとても丁寧な挨拶で受付が始まる。
一つ答えるたびに「ありがとうございます」と感謝の言葉が聞こえる。
話すスピードに不足はない。言いよどむこともない。
マニュアルで決められ、忠実に指導された通りの対応であることがわかる。
度重なる質問にも嫌がる様子もなく回答してくれ、最後に改めて担当者名が伝えられ電話は終わる。
コールセンタオペレーターとして、顧客の求めることに速やかに、正確に決められた手順で、進められていることが伝わってきます。
片や外資系のコールセンターは、フリーコール回線も有料コール回線もつながるものの「(回線が)空き次第対応します、お待ちください」のアナウンスが流れ続ける。
待つこと10数分(よく待ったものである)、やっとつながった。
もちろんお待たせしましたの挨拶で始まる。当方の素性の確認などない。こちらの困っている状況を話すとそのような状況になることがたまにあること、そして一度そのようになれば何度しても同じ状況になること、自分自身も同じ経験をしたことがあり申し訳ないとへりくだりすぎることもなく自然な会話で伝えている。
便利な機能であるはずのものが便利なものでなくなっていることに申し訳ないとこちらが言いたい気持ちを先手で伝えている。
待たされたあげくに、今この時点で解決できることは示されなるものではなかったが、不快感はなかった。そうなのかとそれは仕方ないなとさわやかな印象さえあった。
もちろん日本企業のオペレータも同じような対応であることは間違いないでしょう。
しかし、きっと後味に違いが出るでしょう。
その違いは、「大人の雰囲気のある会話」であったかどうかです。
キャッチボールをするようなリズム感のある会話であるかどうか。
業務ルールとして決められたこと以上であっても以下であってもならない会話対応と、2,3分間の中でも会話として、つまり双方向のコミュニケーションとしての会話ができていると感じられるかどうかがその違いを生んでいます。
どこに行っても金太郎飴のマニュアル対応であるとよく言われます。
ここでマニュアルそのものを否定するものではありません。
マニュアルは、とても重要なものです。業務を進めていく上での軸であり指針であるからです。
新人にとっても経験豊富な担当者にとっても基本ですから。
しかし特に顧客対応におけるマニュアルに縛られていると、画一的で機械的な印象しか生まれません。
オペレーターの人も楽しくないでしょう。
会話に自由がないなんて。
大人の会話ができるようになるといいですね。
このことはきっと顧客満足の向上にもつながりますよ。
Cs-Eye実践塾 MICHI-E AOYAGI