癒しと刺激 考えても先がわからない、変わってしまうかもしれないけれど。 2021.12.23
オーケストラの演奏会に出かけた記憶は、後にも先にも娘が高校時代に入っていたクラブの記念リサイタルに出かけた時ぐらいでした。娘からは、厳重に注意されていました、一瞬終了したかのような空白の時間があるけれど、絶対に手を叩かないでね!と。そんなことすっかり忘れていて・・・・。それ以来その種のものには、縁を作らなかった私が、ピアノリサイタルに行きました。地元にできた新しい文化施設で蜜蜂と遠雷という映画で音楽家マコトのピアノ演奏の代演をしていた音学家が出演するということで行きました。ひたすら変なところで拍手をしないようにと心に誓い。当初は他の観客に追随するような有様でしたが、それでも誰よりも前に手を伸ばし拍手を送りました。
ピアニスト金子三勇士さん、38歳、デビュー10年とのこと。舞台中央のピアノの前で一礼すると同時に着席、と同時に激しく鍵盤を叩く音に聴衆は釘付けでした。圧巻のスタートでした。
マイクを手にして、コロナ下での近況や音楽家としての思いを話し始めました。
コロナ下でやはり求めたものは、癒し。自分にとってやはりそれは、音楽だったと。しかし、癒しを求め続けているとそれだけでは十分でない気持ちが湧き出し、刺激が欲しくなったといいます。辛いカレーに様々なスパイスを加え更に辛くする。カレーは、笑いを誘うトークの一つだとしても変化を求めたい気持ちは、誰にもあると思います。閉塞感から脱却したい!誰しもがそう願っていると思います。
こんな気持を選曲のベースにしたそうです。
癒しと刺激、静かな和みのあるものから挑戦的刺激的な曲へ。
”月光”“月の光”“慰め”“献呈”と続き、最後はピアニストの身体は、手は、その筋肉を鍛えるために何をしているのかと想像しないでいられないパフォーマンスの“ラ・カンパネラ”と楽曲は続きました。
最後にクリスマスプレゼントして第九をピアノ一台で、オーケストラ、独唱、大合唱団を演じるというのです。5役を身体一つ腕二本で。素晴らしくパワフルなパフォーマンスでした。もうアスリートです。
10年の経験を積むまでは、サントリーホールの舞台には、立たないと決めていたそうです。
何度かオファーを貰ったといいますが、来年ようやく10年が経ち念願が叶うそうです。そこでこの第九を新たな手法も用いながら演奏するそうです。どのようなものか想像できませんが、成功することを祈っています。
・・・コロナ下でも、先が見えない時代だと言われていても、考えても先が変わり、また考える、その繰り返しになるかもしれないけれど自分の目標を持ち、一歩ずついっぽずつ足を前に踏み出していきましょう。楽しく、そして誰かのために。